人権としての性教育

少し前に、ヒューライツ大阪のHリムさんから
「7月14日はあいてますか?」
という連絡がありまして、なにかとおもったら艮香織さんを呼んでセミナーをしたいけど、宣伝してほしいとのことでした。が、14日はトランスジェンダー生徒交流会のキャンプです。なので「あきませんねん」と返事したのですが、
「じゃ13日はあいてますか?」
と聞いてこられて、なんでわたしの都合を優先するんだ?と(笑)。でも、13日なら行けるなと思ったので、というか、わたしの都合を聞いてきたので、これは行かねばなるまいと。
てことで、仕事を終えて大急ぎでドーンセンターへ。到着したら中で手を振ってるのはKうさん。その前にはIっぽ&Kんちゃん。なんなんだ、これは(笑)。で、あたりを見渡すとKちゅかるさんもおられます。それ以外に組合関係の友だちとか人権教育がらみの友だちとか、山のようにいます。さらに遅れてバタバタ来られたのがHがしさん。なんなんだ、これは(笑)。
でも、ようやく「性教育は人権教育なんだ」という認識ができてきたというか、それを声に出して言える時が来たんだなと。
振り返ってみると、99年の日教組教研の人権教育の分科会でゲイの友だちとの出会いをレポートした時
「なんでそんなアメリカみたいなのをレポートするんだ。日本にはちゃんとした部落問題というのがあって」
と言われた経験を持つわたしとしては、「遠くまで来たなぁ」とあらためて思うわけです。


で、セミナー開始。ちなみに、わたしは艮さんとはなぜか知り合いだったりします。はじめてお会いしたのはこの日だな。
てことで話を聞いていたのですが、予想した内容とぜんぜん違って、なんというか実践感がすごいです。
もともと性教育が専門ではあるんですけど、ご自分も教員としてかかわられた経験もお持ちだし、今も就学前の子どもたちに性教育のセッションをしておられるんですね。なんか、目の前のIっぽ&Kんちゃんがソワソワしています。
何が問題かというと、子どもにとって「赤ちゃんはどうして生まれるの?」という質問は、例えば「空はなぜ青いの?」という質問とあまり変わらないわけです。つまり「価値や意味の違い」はない。ところが答える大人の側に「価値や意味の違い」があるもんだから、答えなかったりはぐらかしたりする。で、その行為が子どもたちに「価値や意味の違い」を伝えることになる。そしてませた中学生なんかだと「女はあわびなんだぜ」とか言うように育つ。まさに「隠すべきもの」「直接言ってはいけないもの」として教わるからこそ、「それを言う」という発話が行為として意味を持つようになるわけです(笑)。
まぁさらに言うなら、性教育を「してはならない」「やるならこう」みたいなことを言う人は、そのことを通して「性を隠すべきもの」として、さらにそのことを通して「権力」を独り占めするわけなんですけどね。で、まさにそれが日本の性教育の現状で、その象徴的な例が七尾養護学校事件なわけです。で、この事件については、政治が教育に対して不当な介入をしたとして都議会議員の敗訴が確定しています。
ところが、先日足立区で似たような事件があったんですよね。これにかかわっているのが、七尾養護学校事件にかかわっていた都議会議員で、判決から何も学んでいないということが露骨にわかるわけです。
まぁそんなこんなな「いま」の話を艮さんは語られるのですが、まさに「人権教育としての性教育」を実践しておられるからこその「怒り」が伝わってくるわけです。そりゃわかります。わたしたちだって、「人権教育としての外国人教育」をやっていて、そのことをもって「売国奴呼ばわり」されたりするわけで、そこの怒りは共有できますとも。
他方、例えばフランスの性教育をちらりと紹介されましたが、もう「多様な性」なんてのは当たり前。小さい時から触れるんですよね。で、実際にUNESCOの性教育ガイドラインとか見たら、そりゃすごいです。ほんとに「包括的性教育」です。でもこれ、絶対に日本では取り入れないですね。少なくとも今の政権やそのバックにいる人たちが権力を握っている間はね。だって、家族観とかぜんぜん違うからね。いや、UNESCOが言ってるのは「さまざまな家族のありようがある」ってあたりまえのことなんだけど、それが「家族の正しいありようはこれ」みたいにひとつにしか価値を見出さない「あの人たち」とバッティングするってことなんです。つまりUNESCOは「あの人たち」のいう家族のありようもまた否定はしない。でも、それ以外にもあるよって言ってるだけなんですけどね。
まぁ、そんなこんなで、艮さんの怒りに触れられたのはとてもよかったです。
で、最後に質問や感想なんかの時間があったんですけど、誰もおられないので、なぜかわたしのところにマイクが来ました。顔伏せてたのになぁ^^;
なので
「関西においては性は人権から切り離されていた時代がありました。それどころか「昼は人権、夜はセクハラ」と言われてた時代もありました。でも、それがようやく性は人権という認識へと変わってきたんだなということ、そのことを通して人権教育はとても豊かになっているということを実感しました」
と言っておきました。Hがしさんから
「そんなん言ってええの」
って笑われながら(笑)。


セミナーのあとは懇親会。しばしおいしいお酒を呑んで、その後天王寺に行った人はいたけど、わたしは明日のことがあるので退散です。
あとでfacebook見たら、みんなカラオケに行ったみたいだけど、元気だな(笑)。